思いをつなぐ、夢をはこぶ 北海道新幹線の開業に関わる人々の「思い」に触れるインタビュー

思いが走り出す 夢の駅弁「北斗七星」プロジェクト 北斗市立大野小学校 鈴木洋美学校長

北海道新幹線に乗って味わってもらえる駅弁を

地域の新幹線ム-ドの高まりを実感
2006年2月1日に上磯郡上磯町と亀田郡大野町が合併して誕生した北斗市。2016年3月に予定されている北海道新幹線開業の際に新駅が設置される予定のまちです。
北斗市立大野小学校の鈴木洋美校長は、2013年3月まで函館市内の小学校長を務めた後、同年4月より現在の職務に就きました。
赴任後、「まずは児童たちの安全をきちんと確保しなければ」と、すぐに取り組んだのが、地域のパトロールでした。「児童たちにとって危険な場所はないか」と自ら地域内を歩き回る中で、町の至るところに北海道新幹線に関する告知看板が多いことに気づきました。校長が赴任して感じたのは、校内の教員含め、地域の人々の機運の高さ。
「新幹線が開通すれば、町の中に駅ができ、人の往来も増える。ここもますます盛り上がるだろう」。そして、「北斗市はこんなに良いところなんだ。全国に大野地区をPRできる良い機会だ」と感じました。子どもたちのアイデアを尊重しながら、まちの活性化にもつながる何か良いPRはないかと考えました。そこで、日本全国でまちをPRするご当地キャラがはやっていたことから、北斗市の名産「マルメロ」と呼ばれるかわいらしい名前の果実を用いたご当地キャラを考えてみてはどうかと思いつきました。そしてマルメロのほかにも、道産米「ふっくりんこ」やトマト、さらにホッキやホタテもよく獲れることから、北斗市の豊かな旬の食材を使った駅弁でまちおこしを図ろうと試みました。
「HOCTORY」主催のワークショップではこだて未来大生と作品作り

「HOCTORY」主催のワークショップではこだて未来大生と作品作り

グループ単位で考えたご当地キャラをプレゼン形式で発表

グループ単位で考えたご当地キャラをプレゼン形式で発表

ふるさとの素晴らしさを再発見
2013年7月、校長は全校集会で「駅開通を目前にした今、この場所で生きている子どもたちに、もっとふるさとへの愛着を持ってほしい。学校教育の場だからできることをやろうではないか」と児童371人全員にご当地キャラと駅弁作りのアイデアを募りました。
ご当地キャラ作りについては、2013年4月から、北斗市と公立はこだて未来大学が連携してご当地キャラクターを制作するプロジェクト「HOCTORY」を進めていることがわかりました。同年7月に開かれた「HOCTORY」主催のワークショップに、児童3~6年生計30名が参加し、ご当地キャラに関するさまざまなアイデアを出し合いました。児童たちからあがったのは、「マルメロ」や「ふっくりんこ」など、北斗市の名産を取り入れたイラストの数々。「○○ちゃんのこの部分が使われているね」など、児童の意見を要所に取り入れながら会は進み、今後のご当地キャラ作りの進行は「HOCTORY」に任せることにしました。
北斗市の旬を年4回味わってほしい
一方の駅弁作りは、児童と父母、大野小の教員が一丸となり、2013年5月に「夢の駅弁プロジェクト」を発足。白飯は北斗市の「ふっくりんこ」を使うこと。そして、食材は北斗市が誇る7つの旬の食材を四季ごとに取り入れた、4種類の駅弁を作ることに決めました。
北海道新幹線が開通した暁には、春夏秋冬の年4回北斗を訪れると季節ごとの味を味わえるという仕組みです。
まずプロジェクトとして第一弾の目標は、2013年9月に大野小PTAによる「ふれあいフェスティバル」での販売でした。駅弁作りは、JA新はこだて営農センター長の田山光幸さんのアドバイスと北斗市地産地消推進協議会事務局江田信行さんのサポートを受けながら、PTA役員、教員それぞれが役割分担をしながら試作を重ねました。
一人ひとりの思いと技術力が結集し、夏休み中の集まりで、ついに夢の駅弁「北斗七星・夏物語」が完成。
米のうまみを堪能してほしいと、ホッキのたきこみご飯をメインに、ホタテのクリームコロッケ、キュウリとナスの漬物、ミニトマトなどを盛ったのっけ丼弁当のスタイルに仕上げました。
夏休み期間中PTA役員と教職員で試作作りに励んだ

夏休み期間中、PTA役員と教職員で試作作りに励んだ

夢の駅弁が完成!「北斗七星・夏物語」1個300円

夢の駅弁が完成!「北斗七星・夏物語」1個300円

弁当の引き取りに多くの親子が足を運んだ

弁当の引き取りに多くの親子が足を運んだ

児童たちの夢のあるアイデアを集め、駅弁の包装紙として活用

新幹線の旅のお供に「夢の駅弁」を
大野小では、フェスティバル開催の3日前から予約を開始しました。PTAや保護者向けのプリントで事前に告知し、予約販売数100個のところ、わずか2日間で130個もの予約を受け付けるほどの好調ぶり。フェスティバル当日は「予約に間に合わず、食べられなくて残念」「米のうまみが堪能できた」など、これからのプロジェクトの取り組みにも拍車がかかるほどの高い反響を集めました。
2016年3月に予定されている「北海道新幹線開業」をきっかけに誕生した夢の駅弁「北斗七星」は、7~9月を「夏物語」、10~12月を「秋物語」、1~3月を「冬物語」と題し、四季ごとに野菜や海産物など、盛り込む食材を変えて提供を予定しています。
今後の展開としては、2014年9月の同フェスティバルでの販売や、同年11月に大野小で開催予定の道エネルギー環境教育研究委員会道南支部公開研究大会での提供を予定。「いずれ駅が開通したら駅でも販売ができれば。大野地区の持つ『地域力』を集結させた駅弁作りによって、多くの人たちが北斗市に興味を持ってほしい」と、鈴木校長は思いを語ります。北海道新幹線にかけるさらなる思いが加速しています。

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